韓国語の鼻音化とは?3つのパッチムと「ㄹリウル」の発音変化の覚え方
韓国語の発音変化は、パッチムが直後の文字の影響を受けて変化を起こします。
いくつかある発音変化のうち、今日ご紹介するのは「鼻音化」。
鼻音とは、文字通り鼻にかかった音の事で、「ㅇ」、「ㄴ」「ㅁ」の3つの子音です。
つまり鼻音化とは、あるパッチムが影響を受けてこれら3つの発音に変化する事。
鼻音化が起こる条件がいくつかあるため、「なかなか覚えられない」という人もたくさんいます。
そこで今回は、鼻音化のルールをわかりやすくまとめ、パターン別に単語一覧で整理してみました。
鼻音化とは?3種類のパッチムの発音変化
「鼻音化」には鼻音化されるハングルと鼻音化させるハングルがあります。
鼻音化されるハングル(パッチム)の直後に鼻音化させるハングルが来た時に発音変化が起こります。
鼻音化されるハングル(パッチム) | 鼻音化させるハングル | 変化後の発音(鼻音) |
---|---|---|
ㄱ(k) |
「ㄴ(n)」または「ㅁ(m)」
|
「ㅇ(ŋ)」 |
ㄷ(t) | 「ㄴ(n)」 | |
ㅂ(p) | 「ㅁ(m)」 |
それでは1種類ずつ見ていく事にしましょう。
パッチムというのは、ハングル文字特有の「子音+母音+子音」の組み合わせの最後にくる「子音」の事。「終声」とも言います。
ex.パッチムを持つ文字
パッチムの種類や発音に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
パッチム「ㄱ(k)」が「ㅇ(ŋ)」に変化
「ㄱ(k)」パッチムの直後に「ㄴ(n)」もしくは「ㅁ(m)」がくる場合、「ㄱ(k)」の発音は「ㅇ(ŋ)」に変化します。
例として「국민(国民)」という単語を見てみましょう。
「국민」の表記通りの発音は「국」+「민」で「グクミン」となりますね。
しかし「국」のパッチム「ㄱ(k)」が「민」の初声「ㅁ(m)」の影響を受けて「ㅇ(ŋ)」に変化。
実際の発音は「궁민」となります。
その他の単語例を以下に紹介しておきますね。
「ㄱ(k)」+「ㄴ(n)」、「ㅁ(m)」の単語例一覧 | |||
---|---|---|---|
単語 | 鼻音化前の発音 | 鼻音化 | 鼻音化語の発音 |
박물관 博物館 |
박 + 물관 | 박→방 | 방물관 |
작년 去年 |
작+ 년 | 작→장 | 장년 |
고객님 お客様 |
고객+ 님 | 객→갱 | 고갱님 |
パッチム「ㄷ(t)」が「ㄴ(n)」に変化
「ㄷ(t)」パッチムの直後に「ㄴ(n)」もしくは「ㅁ(m)」がくる場合、「ㄷ(t)」の発音は「ㄴ(n)」に変化します。
例として「믿는다(信じる)」という単語を見てみましょう。
「믿는다」の表記通りの発音は「믿」+「는다」で「ミッヌンダ」。
「믿」のパッチム「ㄷ(t)」が「는」の「ㄴ(n)」の影響を受けて「ㄴ(n)」に変化します。
正しい発音は「민는다」となります。
その他の単語例です。
「ㄷ(t)」+「ㄴ(n)」、「ㄴ(n)」の単語例一覧 | |||
---|---|---|---|
単語 | 鼻音化前の発音 | 鼻音化 | 鼻音化語の発音 |
거짓말 うそ |
거짓+ 말 | 거짓→거진 | 거진말 |
옛날 昔 |
옛+ 날 | 옛→옌 | 옌날 |
꽃무늬 花模様 |
꽃+ 무늬 | 꽃→꼰 | 꼰무니 |
「あれ?これらの単語はパッチムが『ㄷ(t)』でないのでは?」と思った方もいるかもしれません。
実は、発音の終声規則というものによって「ㅅ」「ㅊ」は「ㄷ(t)」の発音になります。
終声規則とは、本来19個ある子音が終声(パッチム)になった場合は7つの発音に集約されるというもの。
7つの発音の中で「ㄱ(k)、ㄷ(t)、ㅂ(p)」の発音を持つ子音は以下になります。
発音記号 | 基本子音 | 激音 | 濃音 |
---|---|---|---|
k | ㄱ | ㅋ | ㄲ |
t | ㄷ,ㅅ,ㅈ | ㅎ,ㅌ,ㅊ | ㅆ |
p | ㅂ | ㅍ |
パッチム「ㅂ(p)」が「ㅁ(m)」に変化
「ㅂ(p)」パッチムの直後に「ㄴ(n)」もしくは「ㅁ(m)」がくる場合、「ㅂ(p)」の発音は「ㅁ(m)」に変化します。
例として「업무(業務)」という単語を見てみます。
「업무」の表記通りの発音は「업」+「무」で「オプム」ですね。
「업」のパッチム「ㅂ(p)」が「무」の「ㅁ(m)」の影響を受けて「ㅁ(m)」に変化。
実際の発音は「엄무」となります。
その他の単語例は以下です。
「ㅂ(p)」+「ㄴ(n)」、「ㅁ(m)」の単語例一覧 | |||
---|---|---|---|
単語 | 鼻音化前の発音 | 鼻音化 | 鼻音化語の発音 |
앞날 将来 |
앞+ 날 | 앞→암 | 암날 |
입문 入門 |
입+ 문 | 입→임 | 임문 |
옆머리 横髪 |
옆 + 머리 | 옆→염 | 염머리 |
「ㄹ(リウル)」の鼻音化
「ㄹ」が5つのパッチム「ㄱ(k)」、「ㄷ(t)」、「ㅂ(p)」、「ㅁ(m)」、「ㅇ(ŋ)」の直後に来る場合、「ㄹ」の発音は「ㄴ(n)」に変化します。
これらは大きく2つのパターンに分けられます。
「ㅁ(m)」、「ㅇ(ŋ)」+「ㄹ」
パッチム「ㅁ(m)」、「ㅇ(ŋ)」の直後に「ㄹ」が来ると、「ㄹ」が「ㄴ(n)」に変化します。
例として「음료(飲料)」という単語を見てみましょう。
「음료」の表記通りの発音は「음」+「료」で「ウムリョ」ですね。
しかし「음」のパッチム「ㅁ(m)」が「료」の「ㄹ」に影響を与えて「ㄴ(n)」に変化。
実際の発音は「음뇨」となります。
その他の単語例を以下に紹介します。
「ㅁ(m)」、「ㅇ(ŋ)」+「ㄹ」の単語例一覧 | |||
---|---|---|---|
単語 | 鼻音化前の発音 | 鼻音化 | 鼻音化語の発音 |
금리 金利 |
금 + 리 | 리 →니 | 금니 |
정리 整理 |
정+ 리 | 리→니 | 정니 |
대통령 大統領 |
대통 + 령 | 령→녕 | 대통녕 |
「ㄱ(k)」、「ㄷ(t)」、「ㅂ(p)」+「ㄹ」
パッチム「ㄱ(k)」、「ㄷ(t)」、「ㅂ(p)」の直後に「ㄹ」が来た場合も「ㄹ」が「ㄴ(n)」に変化します。
しかし、このパターンは少しややこしく、「ㄴ(n)」に発音が変わった「ㄹ」の影響を受けてパッチム「ㄱ(k)」、「ㄷ(t)」、「ㅂ(p)」も鼻音化するという二段階変化になります。
第一段階:「ㄹ」が「ㄴ(n)」に変化
第二段階:「ㄱ(k)」、「ㄷ(t)」、「ㅂ(p)」がそれぞれ「ㅇ(ŋ)」、「ㄴ(n)」、「ㅁ(m)」に変化
例として「독립(独立)」という単語を見てみましょう。
「독립」の表記通りの発音は「독」+「립」で「トクリプ」となりますね。
「독」のパッチム「ㄱ(k)」が「립」の「ㄹ」に影響を与えて「ㄴ(n)」に変化。(第一段階)
「ㄴ(n)」に発音が変わった「ㄹ」の影響を受けてパッチム「ㄱ(k)」の発音が「ㅇ(ŋ)」に変化。(第二段階)
最終的に発音は「동닙」となります。
その他の単語例を以下に紹介しておきますね。
「ㄱ(k)」、「ㄷ(t)」、「ㅂ(p)」+「ㄹ」の単語例一覧 | |||
---|---|---|---|
単語 | 鼻音化前の発音 | 鼻音化 | 鼻音化語の発音 |
식량 食料 |
식 + 량 | 량→냥 식 → 싱 |
싱냥 |
몇리 何里 |
몇+ 리 | 리→니 몇→ 면 |
면니 |
입력 入力 |
입+ 력 | 력→녁 입→ 임 |
임녁 |
韓国語の鼻音化の最も簡単な覚え方
ここまで様々な鼻音化のルールとパターンについてご紹介してきましたが、数も多くなかなか覚えられないという事もあるかと思います。
そこで、鼻音化をより簡単に覚えるためにもう一度ポイントを整理してみましょう。
まず韓国語の鼻音化には鼻音化させる文字と、鼻音化される文字がありましたね。
鼻音化させる文字は「ㄴ(n)」「ㅁ(m)」、そして「ㅇ(ŋ)」の3つでした。
つまり、3つの鼻音になります。
「鼻音化させるのは、「ㄴ(n)」「ㅁ(m)」「ㅇ(ŋ)」の3つの鼻音」
これをまず覚えましょう。
そして、鼻音化される文字は「ㄱ(k)」「ㄷ(t)」「ㅂ(p)」の3つで、これらは実は「ッ」で表される促音の仲間になります。
また、例外として初声の「ㄹ」が入ってきます。
つまり鼻音化は最終的に以下のように定義する事ができます。
鼻音化は、「ㄴ(n)」「ㅁ(m)」「ㅇ(ŋ)」の3つの鼻音によって「ㄱ(k)」「ㄷ(t)」「ㅂ(p)」の3つの促音および「ㄹ」が鼻音に変えられること。
細かい変化のルールに関しては、1つ1つ紹介した内容を覚えるしかありませんが、まずは鼻音化の大まかなイメージを覚えておくと良いでしょう。
あとはその都度出てくる単語を覚えていく中で、発音変化があった時に、ルールを見直しながら覚えていくのが、最も易しい方法ですよ。
韓国語の鼻音化まとめ
いかがだったでしょうか?
最後にもう一度だけポイントを整理しておこうと思います。
- 鼻音化は3つの鼻音「ㄴ(n)」「ㅁ(m)」「ㅇ(ŋ)」に変化する発音変化
- 鼻音化させるハングルは「ㄴ(n)」「ㅁ(m)」「ㅇ(ŋ)」の3つ
- 鼻音化させられるハングルは「ㄱ(k)」「ㄷ(t)」「ㅂ(p)」と「ㄹ」
- 「ㄱ(k)」「ㄷ(t)」「ㅂ(p)」はそれぞれ「ㅇ(ŋ)」「ㄴ(n)」「ㅁ(m)」に変化
- 「ㄹ」は鼻音化すると「ㄴ(n)」に変化
- 「ㄹ」は「ㄱ(k)」「ㄷ(t)」、「ㅂ(p)」の直後でも鼻音化し、その後鼻音化させる
鼻音化は数ある韓国語の発音変化の中でも、しょっちゅう出てくる発音変化の1つ。
ぜひ基本を覚えて、ネイティブらしい発音に近づけていって下さいね。
また、鼻音化以上によく使う発音変化が「連音化」。
以下の記事で詳しく解説していますので、よければこちらもご覧ください!
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